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海外駐在とアイデンティティの危機

  • Yuko Okada
  • 10月8日
  • 読了時間: 3分

更新日:10月12日

 

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 海外駐在の生活は、新鮮でチャレンジングな体験です。異国は刺激的で、旅行の機会も増え、輝くような日々を過ごせるかもしれません。


 他方で、「会議で外国語が聞き取れない」、「未知の職場環境に困惑する」という仕事上の悩みもあれば、「食べ物が合わない」、「現地のパーティで浮いてしまう」、「子どもが学校に適応できない」など生活面での困難が生じることもあります。


 海外駐在生活でのストレスが続くと、「アイデンティティの危機」と呼ばれる心理的な状態が生じることがあります。

 「アイデンティティ(identity)」とはエリク・エリクソンが提唱した概念で、「自分が自分らしく生きている」、そして「過去から現在、未来に至るまでの時間の流れのなかで、一貫した”私”として生きている」という揺るぎない感覚のことです。


 多くの人は青年期に、「自分はどんな人間なんだろう」といった抽象的な問いについて思いを巡らせたり、「何が好きで何が嫌いなんだろう」、「将来何になりたいんだろう」という具体的な選択を考えていく過程で、自分自身のアイデンティティを確立していきます。

 そのようなプロセスを経て社会人となった方々は、転勤前には、仕事、家庭、趣味、対人関係も安定し、確固としたアイデンティティを持って生きておられたのではないでしょうか。


 しかし海外駐在の生活で、言葉や慣習など、日本では当たり前のようにスムーズに行えたことの一つ一つが難しく感じられたり、新しい対人関係を築けずに孤立すると、「アイデンティティの危機」が訪れることがあります。

 「アイデンティティの危機」が起こると、自分の判断や行動に自信が持てなくなり、自分が無力で価値がないと感じ、集中力やエネルギーが低下し、やがて憂うつさや悲しみを感じるようになります。


 このような「アイデンティティの危機」が起きた場合、自分のアイデンティティを確認し、再構築する心の作業が必要となります。


 まずは、「自分は何が好きで、どんな風に楽しんで生きていたのか」を思い出し、少しリラックスすることが役に立つかもしれません。例えば次のようなことを試してみてください。


 □日本の家族や友人とオンラインで雑談する時間を持つ

 □写真を眺めて、日本での生活を振り返る

 □好きな映画・音楽・愛読書などにふれる

 □日本で楽しんでいた趣味(スポーツや楽器など)を海外でも始める

 

 また現在、経験している困難は、他の海外駐在員やその家族も同じように体験していることを知り、「自分だけではない」と思えることも大切だと思います。


 □海外駐在の前任者に話を聞いてみる

 □現地の日本人コミュニティに入る

 □家族会などに参加して情報交換をする


 このような行動によって、日本にいたときと同様の、「自分はこういう人間で、このように生きてきたんだ」というアイデンティティの感覚を多少でも取り戻すことができると思います。


 もしご自分だけで「アイデンティティの危機」を乗り越えることが難しいと感じておられるならば、カウンセラーとの対話の中で、それを行うことも役に立つ可能性があります。

 「自分はどんな人間なのか」という問いについて、カウンセリングを通じてより広げたり掘り下げたりすることで、アイデンティティをより確固たるものに近づけることができると思います。


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